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映画「わたしを離さないで」の解説・考察をしています!
さて、本日は1989年にブッカー賞、2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロの代表作 『わたしを離さないで』 ( never let me go ) のあらすじと感想を書いていきます。 発売されるや否や世界中で人気の原作となったため、映画やドラマなどさまざまなメディアミックスが存在します。 また、カズオは日系人でもあるためか、日本でも綾瀬はるか主演の同名ドラマが製作されています。 このように世間で高く評価されているだけでなく、個人的にも 21世紀で最高の小説 だと思っています。 では、さっそく本題に入りましょう! ただし、本作は極力ネタバレのない状態で読んでほしいので、初見の方はあらすじだけ読んだら先には進まないことを強くオススメします!
本作は救いようのない、後味の悪い作品と言えますが、その裏にはキャシーがラストシーンで話していた""『生』とは何か? ""を考えさせられる作品になっています。 人々の価値観は、時代の移り変わりによって変化していきます。 現代では、生きることに特別なテーマや目的を付けがちで、死を意識する場面や、衣食住や周囲の人に心から感謝するような場面は、特に若い頃はないことが多い時代です。 本作は恋愛や友情やその他の経験、それにともなう感情すべてを体験することが、生きることだと伝えているのだと感じました。 人との関わりの大切さを再確認してもらうことが、この作品のテーマであると思います。 が、ストーリーが残酷すぎて伝えたいテーマが薄れてしまいそう…と感じたのは私だけではないと思います。 それでも鬱映画が嫌いではない私にとっては、わりとグッとくるお話でした。 映画『わたしを離さないで』関連商品(楽天) ・参考記事 柴犬こちゃの幕末・維新史跡探索ノート Who is Judy Bridgewater? _『わたしを離さないで』 by カズオ・イシグロ
カズオ・イシグロの最高傑作は? と聞かれたら、この 『わたしを離さないで』 を推す人は多いのではないだろうか。 私は正直に言うとこの問いには 『日の名残り』 と答えてしまうのだが、『わたしを離さないで』も名作であることには間違いないし好きな作品である。 それに、 これからの社会でより重要な意味を持ってくると思う作品は、『わたしを離さないで』なのである 。 なお、初めに述べておくが、ネタバレをしたくないという方は、残念ながらこの記事を読まないでいただきたい。『わたしを離さないで』は、 ネタバレをしない方が圧倒的に楽しめる作品 である。 『わたしを離さないで』のテーマ この作品は、非常に緻密に構成され、数多くのテーマを持っている作品である。 現代社会に提起する、ある問題 。 人間の生の意味とは何なのか。 また、主人公たちになされた教育の是非はどうなのか?
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「暴力に訴える」という闘争本能も、彼らは去勢されているのではないだろうか? ――その方が人間には都合がいいはずだ。だが、そんなことは許されるのか? ――いや、そもそも「提供者」の存在自体が許されないのではあるが…… 『わたしを離さないで』が描くテーマは、あまりに幅が広い。 クローン人間や臓器移植、デザイニングベイビー、優生思想 に関心がある方は、一度読んでみることをお薦めしたい。 おわりに この作品の序盤は謎の多さゆえにやや読みにくい作品であるが、その謎が徐々に明らかになっていく際の快感は何事にも代えがたい。多くの人に読んでもらいたい名作である。 そして『わたしを離さないで』は、多くのテーマを孕む、これからの時代を生きる人々の古典となる小説であるはずである。 ▼綾瀬はるか主演のドラマ版 ▼関連記事 m